選手権でW杯のシミュレーションをしておく
もう1つ重要なのは、試合時間を45分ハーフに統一すること。2種の大会は全てそうすべきだし、日本サッカー協会に規定を設けてほしい。
「連戦だから選手権は40分ハーフ、高校総体は35分ハーフに試合時間を短縮する」とか「負担軽減のために交代枠を増やす」「給水時間を設ける」といった策は小手先でしかありません。世界のユース年代は45分で試合をしていることを忘れてはいけないと思います。
1次リーグ3試合を戦うことになれば、各チームともに多くのメンバーを使えますし、多彩な戦い方にトライできます。高校生というのはパフォーマンスの波が大きく、1試合では本当の力は出し切れません。
96回大会でも前評判の高かった大阪桐蔭や富山第一が早々に負けてしまった。番狂わせはトーナメントの魅力かもしれませんが、大会の質を下げることにつながりかねない。1次リーグを戦えばそういうことは起こりにくくなる。
たった1回で全国大会が終わってしまうチームや選手側の空しさや徒労感を回避し、将来有望な人材を見落とすことなく発掘するためにも、1次リーグ導入は不可欠だと考えます。1次リーグにはドロー決着もありますから、勝ち点1を確保する戦い方を覚える絶好の機会にもなります。
「日本人は引き分けに持ち込むずる賢さを知らない」とよく言われますが、トーナメント中心の環境で育ってきた人間がそういう力を身につけるのは難しい。
高校サッカー界から将来の日本代表を送り出したいのであれば、選手権でワールドカップのシミュレーションをしておくこと。それはやはり重要です。2010年まで行われていたプレミアリーグの前身の高円宮杯全日本ユース選手権(U-18)はワールドカップと同じ大会方式でしたが、それがなくなり、ワールドカップ方式の大会が高校サッカー界に存在しなくなってしまった。そこも問題視すべきところです。