経験に頼った王者、準々決勝で散る
ハビエル・アギーレ監督が率いた2015年のアジアカップでは、グループリーグ敗退に終わったブラジルワールドカップ出場メンバーのうち過半数の13人が残った。それまでの親善試合でアギーレ監督は多くのフレッシュな選手をテストしたが、2014年10月にシンガポールで行われたブラジル戦で0-4の惨敗を喫したことなどもあって定着しきれず、今野泰幸や遠藤保仁など経験豊富なベテランが復帰したことで、結局はワールドカップメンバー中心の構成になった。
しかも、主力メンバーのほとんどがブラジルワールドカップ組であり、唯一のそうではない主力選手は乾貴士だった。経験豊富なメンバーが固定的にスタメンを担ったアギーレジャパンはグループリーグを3連勝で突破したが、それまでの3試合と同じスタメンで準々決勝に臨み、結果はPK戦の末に敗退。柴崎岳が攻撃のリズムを変えて2列目からゴールを狙えるジョーカーとして存在感を発揮したものの、サブのメンバーをほとんど有効活用できなかったことが響いた。
そこからロシアワールドカップに向けて3年半でガラリとメンバーが変わったかというと、そうではなかった。“八百長疑惑”の影響もありアジアカップ後に契約解除となったアギーレ監督に代わり日本代表を率いたヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「デュエル」や「裏を狙う意識」を植えつけたが、ブラジルワールドカップ、2015年アジアカップの主力をある程度残してロシアワールドカップのアジア予選を戦った。
ハリルホジッチ監督解任により急きょロシアワールドカップで日本代表を率いた西野朗監督も主力を大きく変更することはなく、むしろ経験重視で岡崎慎司らを呼び戻したことによって、前回のアジアカップ経験組のうち14人がロシアの地を踏むことになった。
2015年のアジアカップに出場し、あれから4年経って今回の日本代表メンバーに残っているのは東口、長友、吉田、柴崎の4人となっている。森保監督は「経験が浅い選手が多い中、今度は自分たちで新しい日本代表を築いていくんだという強い気持ちを持って戦ってほしい、という思いで選考しました」と語る。