バク転も軽々。しなやかでバネもある身のこなし
こう語るランディは社会人の第一歩を踏み出すにあたって、両親から「怒鳴られて来い」という餞別の言葉をもらった。ピッチのなかで、そして職場で失敗を恐れることなくトライしろ、という檄が込められていたといまでは受け止めている。マイペースで穏やかだった性格が、少しずつ変わってきている。
「僕の人生はずっと怒られっぱなしだったというか。ただ、怒られた方が学べることも多いし、いろいろなことも考えさせられる。控え目でいるよりは、どんどん自分を出していくことで、失敗したとしても学べるものがある。だからこそ、これからもチャレンジしていきたい」
自身のインスタグラムにバク転をする映像を投稿し、体が大きいのに、とちょっとした驚きをもってファンやサポーターに受け止められたこともある。しなやかでバネもある身のこなしは、サイズがほとんど変わらない元スウェーデン代表FWのズラタン・イブラヒモビッチ(LAギャラクシー)を連想させる。
「そこは目標のひとつとして、目指していければ。アパートに帰れば、疲れ切っているなかで何とか洗濯だけはして、すぐに寝るような毎日ですけど、その分、すごく充実していると思っています」
アルビレックスU-18時代の反省から「目の前のことだけじゃなくて、もっともっと先を考えていきたい」とランディは思考回路を変えている。レベルが一気に上がる10月の全国社会人サッカー選手権大会では、チームが3位に食い込んだなかで無得点に終わった。まだまだ力不足という悔しさが、そして21歳で迎える東京オリンピックで日本代表の秘密兵器になる夢が、未完の大器を雄々しく覚醒させていく。
(取材・文:藤江直人)
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