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「海外経験もない、言葉も喋れない“ペーパーS級指導者”に警鐘を」。流経大柏・本田監督が語る育成改革論

text by 本田裕一郎 photo by Hiroyuki Sato

認めざるを得ない日本の育成環境の遅れ

 練習風景を見ても、日本代表選手がフィジカルトレーニングで使っているハートレートモニターをアカデミーの選手もつねに装着し、心肺機能や走行距離などのデータを計測。そのうえで科学的なアプローチが施されていました。

 日本の場合、ユース年代でこうした装置を使いながら練習をしているところはほとんどない。我々も導入を検討していますが、簡易的なものでも1つ3万円かかるため、なかなか簡単ではありません。ただ、選手を大きく伸ばそうと思うなら、こうした装置は必要です。

 実際、バイエルンのユース年代の選手は当たり前のように計測器具を使って、自分のフィジカル的な特徴を把握しながら、長所を伸ばし、短所を補っている。サッカーに集中できる環境で、選手たちは最高のトレーニングを積み重ねているのです。

 こういった差を目の当たりにすると、日本の育成環境や方法の遅れを認めざるを得ません。選手にはできるだけ早く海外に出て行ってほしいとも思います。今、文部科学省も優秀な子供たちを海外に送り出そうという政策を進めていますが、特にサッカー界はそうすべき。沢山の人間が世界へ出て行って、這い上がってくる人間を増やさなければいけません。

 先のロシアワールドカップに話を戻しますが、海外で活躍する選手の台頭は目を見張るものがありました。しかしながら、その分母はあまりにも数が少なすぎるし、海外で活躍する候補選手を2倍から3倍に増やすことがまず大事でしょう。

 そのためにも、これからのユース年代で優秀な選手はどんどん海外に出るべきだと考えます。余談ですが、若い指導者もどんどん海外に出るべきです。国内でS級の資格を取っても海外では通用しないのです。

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