“対策”を講じてこなかったシャルケ
久々に“自由”が与えられた。11月8日に行われた153回目の“レヴィア・ダービー”。ボルシア・ドルトムントはアウェイでFCシャルケ04と戦った。
ホームでのダービーだから、と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、シャルケは“対策”を講じてこなかった。1.FSVマインツ05やSCフライブルクがそうしたように、自陣に守備ブロックを構築して、マルコ・ロイスからスペースと時間を奪おうとはしなかった。
前節TSGホッフェンハイム戦に引き続き4バックを採用。中盤がダイヤモンド型の[4-4-2]の布陣で、試合開始からギアをトップに入れ、前から果敢にプレスを掛けてきた。
試合後の会見でルシアン・ファブレ監督は、次のように振り返っている。
「特に前半は難しいゲームだった。プレッシング、ゲーゲンプレッシングにおいて、シャルケはとても良く組織されていたね。我々はほとんどボールを支配することができなかった。ボールを失った後のシャルケのカウンターは危険だった」
このようにドルトムントの指揮官はケーニヒスブラオに敬意を表したが、実際のところ、シャルケのハイプレスはさほど効果的ではなかったと言えるだろう。20分の場面のように、ロイスが潰されるとすぐに前線のグイド・ブルグシュタラーにボールが送られることもあったが、全体的には決定機を作り出す精度を欠いた。その勇猛果敢な勢いは、ダービーの熱を煽るには十分だったかもしれない。だが、90分間トータルでのエネルギー配分という意味では、いささか乱暴だった。
そして何より大きかったのは、ロイスにスペースが与えられたことだ。ワンボランチのセバスチャン・ルディに張り付かれることもなく、ドルトムントの主将は、直近の2試合に比べれば遥かに自由にプレーさせてもらえた。ボールを持てば前を向いてプレーすることができた。7分のトーマス・ディレイニーの先制弾に繋がった直接FKの獲得は、ロイスを中心に左サイドを攻めたことに端を発する。