シャルケの対策にドルトムントが動じる必要はない。そのワケは…
マインツとフライブルクがそうだったように、シャルケがドルトムント=“ロイス・システム”に特化した戦術を用意して待ち構えることは、十分に予想できる。コンパクトな守備ブロック+カウンター狙いだ。今週はミッドウィークに試合はなかった。ダービーに特化した準備をする時間は十分にあったはずだ。
テデスコ監督は、6日の会見で次のようなコメントを残した。
「ダービーにおいては、現在の順位は重要ではない。そこにはアンダードッグも優勝候補もいない」
テデスコ監督は「我々は全てのゲームに持てる力の全てを注ぎたい」と語り、ダービーだけにいつも以上の力を要求することは避けたいようだ。33歳の青年監督の言うことはもっともだが、現実的には、CLの舞台でアトレティコ・マドリッドと伍するチームを相手に無策で挑んでくることは考えにくい。少なくともマルコ・ロイスに自由を与えないために、何らかの手立てを打ってくるだろう。
しかしテデスコ監督がどんな奇抜なプランを準備していたとしても、慌てる必要はなさそうだ。勝利への“方程式”は整っている。まずは0トップのマリオ・ゲッツェ+ヤコブ・ブルーン・ラーセン、ジェイドン・サンチョらのサイドアタックで揺さぶりを掛ける。そして“ジャブ”がじわじわと効いてきたところで、“最強のジョーカー”パコ・アルカセルを投入だ。
イメージは11月11日に行われた対アイントラハト・フランクフルト戦である。セバスチャン・アラー、ルカ・ヨヴィッチ、アンテ・レビッチの超強力アタッカー陣を相手に、前半こそ無失点で凌いだシャルケの守備陣。だが後半に入ると、“魅惑のトライアングル”の攻勢に耐え切れず、やがて崩壊してしまう。ヨヴィッチに2発を喰らい、アラーにトドメを刺され、結局0-3で敗北した。直近の2試合、FCポルト戦とホッフェンハイム戦も同様の傾向がある。前半を無失点で折り返しても、後半に“失点癖”があるようだ。
ファブレ体制下でチームの輪郭は整い、今季は“骨”のあるドルトムント。昨季前半戦での対戦時のように、4-0から同点に追い付かれるようなことはないだろう。“レヴィア・ダービー”であることに左右されず、「持てる力の全てを」効率良く出し切ることで、勝利を手繰り寄せたいところだ。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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