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セリエA 6年前

ユーベの決勝ゴールはいかにして生まれたのか。そこに背番号7の存在、準備されていた完璧な狙い

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

決勝点をもたらしたのはやはり…

クリスティアーノ・ロナウド
ユーベに決勝点が生まれたのはC・ロナウドの動きがあったからだ【写真:Getty Images】

 カンセロが縦へと走り、それを見逃さなかったブレーズ・マテュイディが後方からミドルパスを送る。おまけに右SBの守備を務めていたシメ・ヴルサリコのポジショニングも良くない。結果カンセロを縦に逃がして、DFラインも乱れ、クロスを上げさせる羽目になったのだ。

 そしてクロスはファーに飛び込んでいたマンジュキッチがヘディングで捉え、決勝点となった。そしてそこには、ユーベの用意周到な準備があったのである。カンセロが中央を避けるようなボールを上げたのは、アッレグリ監督の指示。「シュクリニアルとミランダを避け、ファーに合わるようにしろと指導した」と地元メディアに話していた。

 マンジュキッチはその通りにファーに流れ、クワドォー・アサモアを振り切ってゴール前に飛び込んだ。クリスティアーノ・ロナウドとパウロ・ディバラが前線に残る分、中盤まで下がって守備のバランスを取るのはもっぱら彼だった。守備にも走りながら、攻撃では前に詰めていくという体力的にもハードに続けていたからこそのゴールだ。

 もちろん、そんな人間をファーで勝負させることができるのは、ニアにDFを引き寄せてくれる存在がいるからこそだ。C・ロナウドが中央に張ったからこそ、マンジュキッチはシュートを放つことができたのだ。

 その後インテルは反撃を試みるが、雑なパスでことごとくチャンスを潰した。「じっくり繋がなきゃいけない局面で、無理やりに早くしてミスをする。そうかと思えば、速攻が掛けられるところで不必要にパス交換をしてしまう」とスパレッティ監督は地元メディアに愚痴をこぼしていた。

 その一方で、点を取った後のユーベはリズムを上げて、よりアグレッシブに攻めた。もちろん守備では、ボヌッチやキエッリーニが徹底してFWに寄せてボールをカットし続ける。試合運びの安定感は、やはり格段に差があった。

 スパレッティ監督の愚痴も、逆に言えば差を詰めるべき課題が見つかった、ということなのかもしれない。前半戦でユーベにただならぬ勝ち点差をつけられているインテルだが、後半戦でどれだけチーム力を上げて肉薄できるのか、それとも一層の逃げ切りを許すのだろうか。

(文:神尾光臣【イタリア】)

【了】

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