打倒ジュビロでJ1へ
川崎F戦では両翼に配された中村俊輔や山田大記まで最終ラインに吸収されるほど、守備に追われた。中央の大久保嘉人はフラストレーションを募らせ、最前線の川又堅碁は孤立する。そのような展開になればヴェルディにとって理想的な時間の使い方となる。
ロティーナ監督が仕込んだ「堅守」は自陣に引いてゴール前を固めて耐えるようなものではなく、一定以上のポゼッションを確立した時に実現するもの。8日の試合では、どちらのチームがより長い時間ボールを持ってゲームを進めるかも注目すべき点だ。
もし用意したゲームプランが崩れたらどうするのか。そういう時もヴェルディは試合の中で様々にシステムを変えられる柔軟性を、これまでの戦いの中で示してきた。大宮戦は3-4-2-1でスタートし、1人退場したことで5-3-1へ。その後、一度4バックへの変更を試みながら先制ゴールを奪ったによって急きょ5-3-1に戻した。
横浜FC戦でもスタートは3-4-2-1だったが、後半の早い時間帯で3-5-2へシフトし、最後は林陵平を右サイドに回して4-4-2でゴールを目指した。相手の狙いどころを外して翻弄しようとする試合中のシステム変更は、磐田相手にも効果を発揮する場面があるはずだ。
中村や大久保、川又をはじめとした日本代表クラスの強力な攻撃陣を揃えた磐田に対しても、決してチャンスがないわけではない。ロティーナ監督も「意欲にあふれている」と下克上に並々ならぬ意気込みを語っていた。勢いに乗るヴェルディの最高の下剋上は、これまでに取り組んできたことのすべてを発揮できれば実現に大きく近づくだろう。
(取材・文:舩木渉)
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