10年前の経験も糧に
J1参入プレーオフはレギュレーションが変わり、“入れ替え戦”が復活した。昨季までなら16位のチームも自動降格だったのだから、J1・16位のジュビロ磐田は幸運と言うべきだ。リーグ戦の結果を引きずっても仕方ない。首の皮一枚つながった状態でもう1試合できると前向きに捉えたい。
「このまま気持ちが落ちたままやったら足をすくわれてしまう。プレーオフがあってラッキーというくらいの気持ちで、前向きにやっていくしかない。練習から明るくやっていきたいと思います」
明治安田生命J1リーグ最終節で川崎フロンターレに敗れた後、20歳のDF大南拓磨はそう言って前を向いた。
磐田は10年前にも入れ替え戦に出場している。当時はまだ19歳だった松浦拓弥が獅子奮迅の活躍を見せ、ベガルタ仙台を下した。現役だった名波浩監督はベンチから試合を見つめ、鈴木秀人コーチは選手としてピッチに立っていた。あの時を知っている人間が今のサックスブルーには少なくない。
あんな思いは2度と味わいたくないと誰もが誓ったはずだ。しかし、再び窮地に立たされている。ならば、忘れたくても忘れられないあの経験も今回の戦いの糧にしなければならない。
東京ヴェルディ戦に向け、磐田は完全非公開で練習を行っているという。名波監督体制では異例だが、それだけ大きなものが懸かったゲームであることがわかる。自分たちの良さを思い出し、ウィークポイントを消す。そんなトレーニングが行われていると推察される。
できることはすべてやるべきで、東京V相手に何の対策もなしに戦うのは危険すぎる。