守備の切り替えで後手を踏む
8月の第24節・鹿島アントラーズ戦(1△1)から6試合未勝利。走行距離だけを見れば、磐田はどの試合でも相手に走り負けてはいない。「休まない」は体現できているが、個々が奮闘しなければいけない状況に陥っているとも言える。
後ろで繋げる場面でも前に蹴り出してしまう。味方のサポートが追いついていない中、前線の川又が身体を張って競り合うも、こぼれ球を拾ってそのままゴールへ突進するアダイウトンはいない。夏場に加入した大久保嘉人は中盤に降りてパスを呼び込み、そこへパスをつけると大久保はキープできる。しかし、次の展開で奪われてカウンターを浴びることもあった。
J1で3年連続得点王に輝いたストライカーは、ゴール以外の仕事が多かった。「嘉人はラストパスを出すのも上手い」と名波監督は話しており、攻撃で自由を与えていた。しかし彼が力を発揮し、チームも躍動するというような相乗効果が見られたとは言い難い。
守備への切り替えでも、ボールに近い選手は素早く寄せるが、周りが穴埋めできない。そのため、ボールに食いついた選手が元々いたエリアが空く。取りきれれば問題ないが、タイミングが遅れたり行くべきでない選手がアプローチしてしまう。結果的に空いたところを使われる。第5節・浦和戦の47分のシーンなどが例として挙げられる。
また前に人数をかけた場面で相手に奪われ、甘いプレスをかわされる。次の瞬間には最終ラインが対応を迫られている、ということも多かった。こちらは第23節・柏レイソル戦の69分(結果的に相手のオフサイド)、第32節・FC東京戦の64分などがそうだった。
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