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Jリーグ 6年前

名波ジュビロに何が起きたのか。飛躍の昨季から一転、目標はトップ5も・・・低迷の要因は?

text by 青木務 photo by Getty Images

決して悪くはなかった前半戦

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山田大記と松浦拓弥【写真:Getty Images】

 昨季の磐田を支えたのは堅守だが、それはチーム全体で実現していた。コンパクトな陣形を敷きながら、前線がスイッチを入れる。中央を締めて最も危険なエリアに蓋をする。選択肢を限定できているから後ろの選手も守りやすく、シュートを打たれてもカミンスキーが問題なくセーブできた。

 とはいえ、守ってばかりではいずれ崩される。2017年のサックスブルーは、攻撃でも武器を持っていた。

 その特徴は大きく分けて2つ。ひとつは躍動感あふれるカウンターだ。ラフなボールを川又堅碁が収め、アダイウトンが敵陣を疾走する。後方からは川辺駿(現サンフレッチェ広島)、ムサエフのダブルボランチが飛び出していく。彼らが躍動することで相手のラインを押し下げ、磐田の守備陣は一息つくことができた。『守っているだけじゃない』という精神的なゆとりも大きかったはずだ。

 もう一つの武器はセットプレー。中村俊輔の左足は、この年の総得点50点のうち半分を生み出している。昨季は30試合に出場。一方で今季は怪我もあって16試合にとどまり、磐田のセットプレーからの得点は『7』に減少した。

 今季は川辺が広島に復帰し、アダイウトンとムサエフはシーズン序盤に大怪我を負い長期離脱。中村俊輔もフル稼働できなかった。磐田の総得点はリーグワースト2位の『35』。前年から15点減っており、昨季の武器はなくなってしまったと言えるだろう。

 しかし、今季もメンバーは揃っており、前年とは異なる色を出す試合もあった。特に山田大記と松浦拓弥が2シャドーを組んだときは可能性を感じさせた。カウンターは薄れたが、巧妙な連係で彼らが攻撃にアクセントを加えていた。相手の嫌なところを見つけるのが上手い2人はパスコースを読んでは消し、隙あらば激しくプレスをかけるなど守備でも貢献した。

 前半戦のある試合の後、対戦相手の選手がこんなことを話していた。磐田の守備を称賛する言葉である。

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