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Jリーグ 6年前

鳥栖が未来を賭けた「劇薬」と「伝説の夜」。社長の“ぶれない姿勢”がJ1残留の分岐点

text by 藤江直人 photo by Getty Images

右肩上がりへ転じさせた社長の信念

サガン鳥栖
「サポーターの力の後押しを受けたことに心から感謝したい」と竹原社長は話す【写真:Getty Images】

 そのサポーターミーティングは予定されていた1時間を大幅に超えて、約2時間に達したところで幕を閉じた。竹原社長が覚悟していた怒声が飛び交うシーンはゼロ。マイクなしで伝わってきた覚悟と思いの丈に感化されるかのように、最後は会場全体に割れんばかりの拍手が鳴り響いた。

「僕は佐賀で夢を追いかけることに情熱を燃やしています。こんなに小さなクラブがJ1に残ることも夢ですし、トーレスが来たことも夢。ひとつひとつをかなえていくためには、逆に苦しまなければいけない」

 サポーターミーティングで一体感を訴えてから約1ヵ月半。最終的に勝ち点41で5つのクラブが並ぶ未曾有の大混戦で、14位で残留を果たした胸中を尋ねると「僕が社長になってから、一番難しいシーズンでした」という言葉が返ってきた。

「難しいことや厳しいことがいろいろとあったなかで、最善の決断を下してきた結果が残留につながった。いい勉強になった、という言い方はちょっと変ですけど、より強いサガン鳥栖にしていくうえで、ポジティブに思う部分と反省する部分を同時に見ていきたい。あらためてすべての人々に、そしてサポーターの力の後押しを受けたことに心から感謝したい」

 振り返ってみれば5月6日も、エスパルスを3-1で撃破して連敗を止めている。そして、10月18日の2日後にもベガルタを3-2で振り切り、アウェイであげた2勝目とともにサガンを右肩上がりに転じさせた。逆境でも逃げずに思いの丈を伝え、それが言霊と化して一体感が呼び起こされる。サガンの、そして竹原社長のぶれない姿勢が、残留への最大のターニングポイントになった。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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