その強さは本物。修正すべき点は?
勝利をほぼ手中に収めたアーセナルだったが、前線からの激しいプレスを一切やめることはなかった。それが、トッテナムにとっては非常に厄介なものとなっており、後半、それも終盤であのような強度を持って立ち向かってくる相手には、成す術がなにもなかったのである。85分にはフェルトンゲンがこの日2枚目のイエロカードを受け退場となった。このシーンも、背番号5に対してラカゼットが猛烈なプレッシャーを与えたからこそのものだったのである。
大ダメージを食らったトッテナムはそのまま2-4で敗戦。リーグ戦での連勝は、“3”でストップする形となった。
対するアーセナルは完璧な試合運びで圧勝を収めた。これでリーグ戦は12戦負けなし。まだまだ優勝争いに食い込むだけの力を持っているはずだ。
ただ、課題がないわけではない。この試合でも何回か守備の改善点は見受けられた。それが3バックとWBの間のスペースをどう埋めるか、である。
例えば22分の場面を見ても、ソン・フンミンに突破されたスペースは本来のシュコドラン・ムスタフィ、ベジェリンの間である。背番号7の個人技が光った点はあったが、最後にアタックに行ったのが反対サイドのホールディングだったことを考えても、ここを突破されるとかなり厳しい状況に追い込まれる。
34分、トッテナムの2点目も、ソン・フンミンが突破したスペースはやはり、ムスタフィとベジェリンの間だった。それこそ、チェルシーやマンチェスター・シティといったクラブはこうしたわずかな隙間を狙うのは非常にうまい。だからこそ、その部分の修正は今後に向け、必要になってくるだろう。
とはいえ、全体的に見れば、アーセナルの強さは本物だろう。エメリ体制の下、チームは明らかに進化を果たしている。首位・シティとの勝ち点差は現段階で8。決して簡単なことではないが、まだまだ逆転できる可能性はある。今後、どこまで勝ち点を積み上げるのか、大いに期待したい。
(文:小澤祐作)
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