王者が示した強さの一面
センターバックの2人も、働きは大きかった。シメオネのプレスに押されてボールを失うこともそれなりにあったレオナルド・ボヌッチも、ボールを拾い裏に行こうとするシメオネの動きを常に予測し、エリア内でシュートを打たせなかった。そしてジョルジョ・キエッリーニは、セットプレーのチャンスに前に詰めて、大胆にボレーシュートを放ち2点目に繋げた。
こうして要所を締めて2点のリードを奪ったユベントスに対し、フィオレンティーナは崩れた。ファウルも多くなり、やや不運な裁定とはいえPKまで献上してしまう。そして概ね抑えることができていたC・ロナウドにPKを決められて万事休す。彼自ら冷静さを失ってしまえば、力量の上回る相手を凌駕できるはずもなかった。
フィオレンティーナは、ドローも多かったとはいえこれまでホームで無敗を誇ってきたチームだった。そこに初めて土をつけたのは、目下リーグで最強のユベントスだった。攻められたものの、勝負どころを制して終わってみれば3得点で0封だ。今までの試合のように、力を堅持して相手をねじ伏せる感じの内容ではなかった。だがそんな展開でも最終的に勝ち点3をもぎ取ることができる。これも彼らの強さの一面である。
暫定的にだが、2位ナポリとの勝ち点差は11にも開いてしまった。次節は因縁のイタリアダービーが控えている。久々のCL参戦で2勝を挙げたインテルをも突き放してしまうと、優勝争いの行方が前半戦にして決まってしまうことにもなりかねない。果たしてどうなるか。
(文:神尾光臣【イタリア】)
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