世界を体感した日本代表デビュー戦
プロサッカー選手として18年半。これだけ長く現役を続けられる選手はそうそういないが、「いやあ、早かったですね、思ったより」と高木は言う。そして「本当に楽しかったです、サッカーが。いろいろな経験をしてきましたけど、やっぱりどのカテゴリでやっても試合で勝つとやっぱり嬉しいですし、そのために練習しているわけですし、やっぱりサポーターも喜んでくれますし、本当に楽しかったです」と晴れ晴れとした表情を見せた。
キャリアで最も印象に残っている試合は、やはり日本代表としてのデビュー戦だ。2008年8月20日のウルグアイ戦。岡田武史監督に抜てきされた高木は、センターバックで中澤佑二とコンビを組んだ。最終的に1-3で敗れることになるが、日本代表として一度だけ先発出場の機会を得て世界を体感したこの試合の記憶は10年経っても薄れない。
「世代別の代表にも入ったことのない僕にとって、すごい世界でしたし、ウルグアイには(ルイス・)スアレスとかがいる中で、自分はボコボコにやられて、こういう世界があるのかと思った。(日本代表として)100試合とか出ている選手たち、長友(佑都)とか岡崎(慎司)とかは、ちょうど僕が入っていた頃に(代表に)入りだしたので、本当にすごいし、彼らをリスペクトする気持ちを持っていますし、やっぱりそのウルグアイ戦は覚えています」
のちに日本代表としてワールドカップの舞台に立ち、100キャップも達成する長友佑都は、10年前のウルグアイ戦でベンチに座っていた。岡崎慎司はこの試合の翌月、A代表初招集を受ける。後輩たちが世界へ羽ばたいていく過程を見て、刺激を受けた経験は何物にも代えがたい宝物だ。
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