フットボールチャンネル

Jリーグ 6年前

梅崎司、曺監督と流した涙の先に。31歳で湘南移籍の覚悟、取り戻した輝きが意味するもの

text by 藤江直人 photo by Getty Images

今だからこそ、自問する湘南移籍の意味

梅崎司
梅崎司はかつての輝きを取り戻した。だからこそ今、湘南ベルマーレに移籍してきた意味を自問する【写真:Getty Images】

 歓喜のルヴァンカップ戴冠後は1分2敗と、勝ち点を積み重ねることができなかった。国際AマッチでJ1が中断していた間に、梅崎は自分自身と会話する回数を増やしている。

「シーズンが佳境に入ってきたなかで、自分がベルマーレに来た意味をあらためて問いただしました。もっともっと仕掛けて、自分でゴールを狙っていく意識をずっと植えつけてきた。前線の選手にとって、チームを助けるという意味ではゴールが一番なので」

 キックオフ前の時点で、勝ち点37で並んでいたサガン鳥栖と名古屋グランパスも第33節で勝利した。V・ファーレン長崎に続いて柏レイソルの自動降格も決まった一方で、湘南を含めた5チームにJ1参入プレーオフに回る16位になる恐れがある、まさに未曾有の大混戦で来月1日の最終節を迎える。

「挑戦する心がないと、このチームは結果に結びつかないと思っている。日々成長していきたいという思いを練習の段階から出して、みんなで切磋琢磨して争いながら、試合のなかで個人として、そしてチームとしてさらにステップアップするんだと思いで戦うこと。その集合体がベルマーレであり、残留への大事なポイントになってくると思う」

 アウェイのパロマ瑞穂スタジアムに乗り込む最終節で引き分ければ、勝ち点41で並ぶ名古屋を得失点差で上回って残留が決まる。ただ、最初から守りに入るつもりは毛頭ない。痺れるような展開も成長への糧になると信じながら、梅崎、そして湘南は勝利をもぎ取るための準備を進めていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

20181027_obi

『育成主義 選手を育てて結果を出すプロサッカー監督の行動哲学』

定価:1,728円

「出合った選手たちと真剣に対峙する。一期一会だけでは終わらない、“一期一真剣”のマインドがなければ指導者としての責任を果たせない」

選手の成長を考え、真正面から対峙する指揮官は何を考え、どのように選手と接するのか。
2017年にJ2優勝を果たした湘南ベルマーレの曺貴裁監督が綴る渾身の一冊。

【目次】
第1章 組織論 チームと真正面から対峙する
第2章 育成論 選手の指導に正解はない
第3章 監督論 湘南スタイルは深化し続ける

【著者プロフィール】
曺貴裁(チョウ キジェ)
1969年1月16日、京都市生まれ。京都府立洛北高校、早稲田大学を経て、91年日立製作所本社サッカー部(のちの柏レイソル)、浦和レッズ、ヴィッセル神戸でプレー。Jリーグ通算70試合に出場。12年に湘南ベルマーレ監督に就任。チームを3度のJ1昇格、2度のJ2優勝に導き、就任7季目となる18年は監督としては通算4年目となるJ1での戦いに挑む。

詳細はこちらから

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!