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Jリーグ 6年前

梅崎司、曺監督と流した涙の先に。31歳で湘南移籍の覚悟、取り戻した輝きが意味するもの

text by 藤江直人 photo by Getty Images

時とともに変わっていった自分

 誰にも明かさなかった思いを、初めて面と向かって話した曺監督に見抜かれた、という思いに駆られた。自分のことをこんなにも見てくれている人が、理解してくれている人が目の前にいる。自然と喜びで体が震えてきた。新天地・湘南で、ゼロからの勝負を挑むことに何の迷いもなかった。

 曺監督の記憶には、大分トリニータU-18からトップチームに昇格し、アンダー世代の日本代表に選出されていた頃の梅崎の躍動する姿が鮮明に刻まれていた。場所はJヴィレッジだったことも覚えている。ちょうど湘南の一員となり、アカデミー組織の再建を託された時期だった。

「本当にきかん坊で強気で、前へ行く力がある選手だなと思って見ていた。僕のなかで(梅崎)司は、途中でベンチへ下げられたときに『何でオレが代わるんだよ』と監督に言うくらい、勝負へのこだわりを誰よりも強く見せる選手だった」

 2006年9月6日にはイエメン代表とのアジアカップ予選で、19歳にして日本代表デビューを果たしている。しかし、残り1分になって敵地のピッチへ投入されたオシムジャパン時代の一戦が、現時点において最初で最後の国際Aマッチ出場となっている。

 フランス2部のグルノーブルへの約半年間の期限付き移籍、大分への復帰をへて、2008シーズンからはレッズへ完全移籍。飛躍が期待されたこの年から故障の連鎖と、毎年のように加入してくる攻撃的なポジションの選手たちとのポジション争いが繰り返されてきた。

 数年の歳月が過ぎ、湘南のトップチームを率いる曺監督が、レッズとの練習試合でさいたま市内の大原サッカー場を訪れたときだった。グラウンドの隅でリハビリトレーニングを積み重ねる梅崎の姿を見たときに、少なからずショックを受けた。

「何か表情が(以前と)変わったように思えたというか。縁があって今季から我々のチームに来てもらえることになりましたけど、僕の一番の強みはその選手がどのように過ごしてきたかを、いろいろな指導者の方々とのつながりなどを介して知っていることだと思っている。もちろん全ての選手を知っているわけではないですけど、これは大人になった彼らを教えるうえで非常に大きい」

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