やはりロナウド。堅守を破るワンプレー
さらに、相手が攻撃に切り替えた後のプレーがまた心憎い。DFラインやコンドグビアが回収したボールはダニ・バレホのもとにすぐ集まり、そこから正確なパスが散らされる。コンパクトに布陣を保つ選手たちは自信を持ってショートパスを回し、強力なはずのユベントスのプレスを空転させていた。
そして45分には、ゴール前で得たセットプレーのチャンスにディアカビが強力なヘディングシュートを放つ。超人的な反応を見せたヴォイチェフ・シュチェスニーのセーブがなければ、バレンシアの術中に完全にハマるところだった。
だが後半、彼らはこうしたバレンシアの堅守をワンプレーで破った。その源となったのは、やはりクリスティアーノ・ロナウドだったのだ。
59分、マーカーに先んじて盾を破り、左足でクロス。DFとGKが互いにカバーしづらい中間距離へ正確に流すと、ファーに流れていたマリオ・マンジュキッチが押し込んだ。
ただ決定的だったのはクロスそのものというより、直前に相手マーカーを置き去りにしたフェイントだった。対面のマークを振り切るのみならず、組織守備全体を無効にしてしまう意味のあるものだった。
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