退場者が出てゲームプランは崩壊
「今までサッカー選手として色々な経験をしてきましたけど、勝って泣きそうになったことはなかった。今日は泣きそうになりました、嬉しくて」
25日に行われたJ1参入プレーオフ1回戦の大宮アルディージャ戦に勝利した後、東京ヴェルディのFW林陵平は喜びを噛み締めていた。58分に2枚目のイエローカードを受けたMF内田達也が退場に。ヴェルディは数的不利となりながらも、セットプレーからゴールをもぎ取り、結果的には1-0で大宮を退けた。
すべての「誤算」は内田の退場から始まった。
前半はミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も絶賛するヴェルディが完全に主導権を握る展開。「どっちの順位が上かというゲームをしていたと思うし、(内田が)退場するまでは今季のベストゲーム」と話す選手もいたほどにボールを支配し、ホームの大宮を押し込んで試合を進めていった。後半もその流れを継続していけばゴールを奪えるという確信もヴェルディの選手たちに芽生え始めていた矢先、まさかの退場だった。
その時、ヴェルディはすでに1人目の交代の準備を終えていて、レアンドロがタッチライン際に立って出番を待っていた。第4審判が持つボードに示されるはずだった数字は「8」。つまり内田を下げて、より攻撃的に出るプランを想定していた。
「あのタイミングではレアンドロと林を前の2トップに置くプランを準備していた。(内田が)退場してしまったので、(中盤の)誰かを切って変えなければいけないという難しい状況になってしまった。選手は悪くない。我々が退場によって決断を下していかなければならなかった」
ロティーナ監督は試合後の記者会見で、内田の退場によってゲームプランが一度崩壊したことを認めている。ヴェルディは3-4-2-1のシステムで試合に入ったが、J1参入プレーオフの大会方式によって、レギュラーシーズンの順位が上だった大宮は引き分けでも勝ち上がれる状況だったため、どこかでリスクを負ってより攻撃的になる必要があった。