「勝利を争うべきで、引き分けで突破するべきじゃない」
大宮のFWマテウスは、引き分け狙いではなかったと主張しつつ、チームの受動的な姿勢が最終的に響いたことは認めていた。
「個々の選手もチーム全体としても、引き分けを狙って試合に臨んでいたわけじゃない。いつもどおり勝利を狙うことがゲームプランだった」と24歳のブラジル人は語る。
「もっと前からプレスをかけて、相手に自由にボールを持たせないようにしたいと思っていたけど、その部分でギアを上げることができず、主導権を明け渡してしまったのは本当に残念だ」
「ホームで引き分けでもいいというアドバンテージがあったけど、スタートからあまりにも下がりすぎていたことが最終的に敗因になったと思う」
順位が上のチームがホームで戦い、引き分けでも勝ち進めるという方式は、毎年のように選手たちから批判されている。シモビッチは、それが大宮の敗退の原因ではないとしながらも、システムの有効性には疑問を唱えた。
「それで難しくなったとは思わないけど、本当に変わったルールだ」とシモビッチは語る。
「こうなるべきではないと思う。勝利を争うべきで、引き分けで突破するべきじゃない。おかしなルールだ」
一方でヴェルディの選手たちも、このシステムが大宮以上に自分たちに味方したことに強く同意していた。そして、今後の2試合も同じであることを期待している。
「僕らにとってはシンプルでした」と李栄直。
「引き分けでもいいと考える必要はなく、とにかく勝つしかないと分かっていました。そういう意味でレギュラーシーズンの試合でずっとやってきたのと同じ戦い方をするだけでした」
渡辺も同意見であり、同じレギュレーションで横浜FCと対戦する次の試合に早くも目を向けていた。
「僕らにはプレッシャーは全くありません。今日のような戦いができれば勝てると信じています」
(取材・文:ショーン・キャロル)
【了】