東京Vも驚き。積極性に欠けた大宮
2017年のJ1から降格してきた大宮は、トップリーグ昇格に挑戦することが見込まれるチームのひとつとしてシーズンを迎えた。だが2部リーグでの序盤はスロースタートとなり、開幕から5節までにわずか1勝、9節までに2勝しか挙げることができなかった。
それでも、最終的に24ゴールで得点王に輝いた大前元紀の得点力に大きく助けられ、昇格争いには残り続けていた。5試合を残した時点では2位の大分トリニータとわずか3ポイント差。
そこから3試合連続で勝てずに自動昇格の望みは断たれたが、最終節のファジアーノ岡山戦を1-0で制してなんとかプレーオフ圏内を確保することはできた。FC岐阜と0-0のドローに終わったアビスパ福岡が圏外へ滑り落ちた。
最終節の滑り込みで勢いづくかと思えば、ヴェルディ戦の大宮は信じがたいほどに受け身な戦いで試合をスタートさせた。アウェイチームにボールを持たせ、カウンターを繰り出すチャンスを待つことを良しとしているようだった。
引き分けでも勝ち進めることが分かっているとはいえリスキーな戦術ではあったが、シーズンの大半を通して用い続けてきた安全第一のアプローチと大きく異なるものでもなかった。リーグ戦の直近27試合で無得点試合が1回しかないというチームは、大前とその他のFW陣が力を発揮してくれると期待しているのは明らかだった。
一方のヴェルディは、大宮の消極性を喜んで利用し、キックオフ直後から試合の主導権を握った。今季J2で2番目に少ない41失点の守備陣が明らかに自信を後押しし、前線から精力的にプレスをかけていた。
「相手のプレッシャーが思っていたほどではなく、緩いくらいだったので、かなりプレーしやすかったです」とヴェルディのMF渡辺皓太は大宮の消極的姿勢について話していた。
「今週の練習では相手の前からのプレッシャーに対応する準備をしていたので、予想していたのとは違う戦い方でした」
李栄直も同様に、大宮は勝たなくても来週の横浜FCとの試合へ勝ち進めるという事実が影響していたと感じたようだ。
「攻めるべきなのかどうかという意味で、大宮にとっては難しかったのかもしれません。結局それで相手は守りに入ってしまい、僕らとしてはボールを持ちやすくなりました」