優勝経験者が語るアジアカップの戦い方
三竿選手も守田選手と同様、非常に伸びてきています。タイプ的には守田選手よりもボールに食らいつくタイプです。広範囲に動いてボールを奪いにいけますし、日本代表での要求を意識しながら縦パスをつけていく配球も見られ、非常に良い状態を保ちながらどんどん新しいことを吸収して伸びていくタイミングにあると思います。
森保監督は最初の合宿から若い選手たちを招集して、結果を出したら継続的に呼ぶという明確なメッセージを発しているように思います。そういう意味では、攻撃での持ち味を随所に発揮した山中(亮輔)選手もキルギス戦でゴールという結果を出しましたし、もちろん長友(佑都)選手の状態しだいというところもありますが、左サイドバックの貴重なオプションとしてアジアカップのメンバーに残っていける可能性を示しました。
アジアカップは短期決戦なので、大会に入ってから決まってくることも多くなります。そこでチームとして優勝する流れに持っていけるかどうかが鍵です。これまでの流れでいけば若手中心のチームで挑むでしょう。
決勝まで全てが順風満帆ということはないので、特に決勝トーナメントに入って「負けたら終わり」という状況でゲームプラン通りに試合に入れなかったり、歯車が少し狂ってしまったりした時など、苦しい展開でも延長戦やPK戦に持ち込み、勝ち切る戦いをしなければなりません。そういう状況での経験値という意味では多少の不安があるものの、逆にそのような厳しい状況を切り抜けることでブレイクスルーを遂げて、急激に伸びていく選手がいるはずです。
もちろん前回優勝した2011年のアジアカップを知る経験豊富な選手たちの力も重要ですが、当時のアルベルト・ザッケローニ監督が率いたチームにも日本代表でタイトルを争うのが初めてだった選手たちは多くいて、その後の7年間で日本代表の主力になった者もいます。森保監督も今伸び盛りの選手たちをピックアップしてチャンスを与えているので、彼らにとっては貴重な経験の場になるでしょう。
アジアカップはワールドカップのように「ここが全て」という考えでチームを作る大会ではありません。その時に最も結果が出る確率が高いメンバーを選び、勝利に最も近い戦い方をするのではなく、結果を求めつつもチームや個人としての成長を加速させる大会になります。若い選手でなければできないこともありますから、森保ジャパンの選手たちの躍動には大いに期待しています。
(分析:岩政大樹、構成:編集部)
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