頼もしい新世代の台頭
キルギス戦は序盤こそ相手の中盤の選手たちの距離がそれぞれ遠かったので縦パスを入れられましたが、徐々に対応され、中を閉められてからは停滞感の方が強くなっていきました。アジアカップでも同じような試合が出てくるかもしれませんし、当然相手も日本の戦い方に対応してくるはずです。そのようにチームがうまく回らない試合が出てきた時に、どう戦っていくかというのは公式戦の中でしか見えないところもあります。
ここまでのチーム作りを見るとウルグアイ戦やベネズエラ戦の先発メンバーがアジアカップでも中心になっていくでしょうが、途中から流れを変えようとした時に多少の不安があるのも確かです。とはいえ、今の段階でこういったところまで話をできること自体がいいことだと思います。
アジアカップに向けて3回の合宿を行った森保ジャパンのこれまでののポジティブな収穫としては、伸び盛りの選手が多く出てきていることも挙げられます。キルギス戦に先発した三竿(健斗)選手や守田(英正)選手、ベネズエラ戦などに出場した遠藤(航)選手も、今非常にいい状態にあると思います。
彼らはアグレッシブに守備にもいけていますし、新しいことへの欲求も強く、こういう時は吸収力も高くなります。今後も試合に使っていけばどんどん伸びていくでしょう。
実は大島(僚太)選手を選んでいないことも非常に重要なポイントだと思っています。森保監督が就任してから招集された柴崎選手や青山(敏弘)選手も含めたボランチの5人は、最初からポジションを崩して動くよりも、戦況を見ながら空いたスペースに入っていく非常に優れたバランス感覚を持った選手たちです。
前線の中島選手、南野(拓実)選手、堂安(律)選手、大迫(勇也)選手の4人が流動的にポジショニングを変えながら中に入ってい崩していこうとし、それに相手が対応して陣形を崩したところにサイドバックかボランチが出ていきます。後ろの6人は前の4人がゴールに向かっていく中で、ポジションのバランスを保ちながら配球していくことが主な役割になります。
そういう意味では、特にキルギス戦に先発出場した守田選手がアジアカップでのメンバー入りに向けてかなり有力な候補になったのではないでしょうか。彼はファーストディフェンダーとしてボールを狩りにいくこともできますが、より際立つのは周りの選手との連動するスピードです。
目立たないですが、近くの選手がボールにチャレンジした時、次の動きを予測したポジションに入ってセカンドボールを回収するための準備を整える早さには素晴らしいものがあります。それはキルギス戦でもよく見られました。森保監督もボランチ出身ですし、あのポジショニングには非常に注目しているはずです。