守備に課題は見られるが…
森保一監督が率いる日本代表の、アジアカップ前最後の2連戦はベネズエラ代表に1-1、キルギス代表に4-0という結果で終わりました。
ベネズエラ戦では終盤の時間帯は相手も少し前がかりになって、ゴール前に人を集められたことで危険性が高まってPKになりましたが、90分間を通してみれば失点自体の確率は高くない試合だったと思います。相手は1トップのサロモン・ロンドン選手に近い距離で絡んでくる選手のいない構成でしたので、特にセンターバックのところで厳しい対応が迫られる場面は起こりにくい状況でした。
ただ、相手の右サイド、日本から見た左サイドに関しては攻撃的な選手が揃っていて、サイドバックが盛んにオーバーラップしてきました。そしてインサイドハーフのヤンヘル・エレーラ選手や右ウィングのジョン・ムリージョ選手と頻繁にローテーションしながら攻めてきました。
逆サイドはほとんどサイドバックのオーバーラップもなく、それゆえにポジションチェンジもなかったので日本の守備にズレは生まれにくかったですが、佐々木(翔)選手、中島(翔哉)選手、柴崎(岳)選手のところでは臨機応変な対応が求められました。特に佐々木選手と中島選手のところでマークを受け渡す際にどのようなコミュニケーションがあったのか定かではありませんが、外のスペースを空けすぎてしまっているようにも見えました。
とはいえ、こういった守備面での課題はこれから整備していくつもりなのかもしれません。アジアカップは最初から最後まで強い相手が続くワールドカップとは違い、正直に言えば対戦相手が弱いチームから強いチームに変わっていく大会です。
当然、森保監督も段階的なチーム作りを考えている中で、これまでに戦った5試合で攻撃面ではかなり連係が取れてきている実感があるでしょう。守備面でベネズエラ戦やキルギス戦で最終ラインが大きく混乱することはなかったですが、やはり細かい部分で気になるところはありました。
ただ、やはり試合数が少なく選手たちもサンプルを積み上げ切れていない状況ですから、アジアカップが始まった段階で、試合を進めるごとにチームとしての動きをより細かく詰めていき、最後に向かって厳しくなっていく準々決勝、準決勝に挑んでいく構想だと考えるべきでしょう。