札幌が成功した『稀有な例』
追いつきたい磐田は、後半開始からMF荒木大吾を早々と投入。さらに同70分にはFW小川航基、MF中村と2枚替えで敵ゴールを目指した。だが交代が機能したのは、札幌。U-21日本代表の海外遠征から帰ってきて、この試合途中出場のMF三好康児が見せた。
76分、カウンターからパスをもらうと、ペナルティーエリア右から中央にドリブルしてコースを作り左足一閃。カーブがかかったシュートは、相手GKの手の先をかすめ、ゴール左隅に突き刺さるファインゴールとなった。
「いい形で受けたので、思い切って(足を)振っていこうと。イメージ通り。最近というか、後半戦になってから練習してきた形」と話した自身今季3点目が試合を決めた。DF宮澤裕樹らを中心としたディフェンス陣も、整備された堅い守備で失点を許さず、2-0で逃げ切り。札幌は勝ち点54に伸ばし、最終節を残し5位・FC東京に勝ち点差4をつけて4位以上が確定した。
昨季は四方田修平前監督(現ヘッドコーチ)の下、守備を重視した形でJ1残留にこぎつけたが、今季はペトロヴィッチ監督が就任して攻撃的なスタイルで大躍進を続けている。守備的なチームが飛躍を求めて、攻撃的なスタイルに変更して失敗する例は少なくない。その中でコンサドーレは、その切り替えがうまくいった稀有な例だ。その理由の一端を指揮官が明かした。
「昨年私が浦和を解任された後、すぐに札幌から監督の打診をいただいた。その後札幌というチームを2~3ヶ月に渡って集中的に見た、その中で四方田さんは、いい土台を作られていた。しっかりとした守備ができる。そしてしっかり選手も育ててくれていた」
すでに昨季の時点から、時間をかけて外から次に率いるクラブを研究して特徴をつかんでいたのだ。
【次ページ】ミシャ監督が繰り返し行ってきたこと