クーマン監督が見出した最適解
クーマン監督は監督就任当時からずっと5バック戦術を採用していたが、どうしても中盤の組み合わせがしっくりこず、夏のオフに悩んでいたという。そこで9月6日のペルー戦(親善試合。2-1で勝利)から、オランダの国民的スタイルである4-3-3に戻した。前半はチームのかみ合わせが良くなく、0-1のビハインドを負ったオランダだったが、後半頭からフレンキー・デ・ヨングが中盤に入ると蘇り、メンフィス・デパイの2ゴールで逆転勝ちした。
これまでヒディンク、ブリント、アドフォカートが解けなかったパズルを、ペルー戦の後半をヒントにしてクーマンはネーションズリーグの舞台で解いてみせた。それが9月9日、敵地で行われたフランス戦だった。この試合を1-2で落としたオランダだったが、時間帯によってはフランスを凌駕し、ネーションズリーグでの成功につながる戦術を確立した試合になったのだ。
まずは中盤の編成だ。卓越したゲームメーク能力でチャンピオンズリーグ(CL)でも活躍するアヤックスのフレンキー・デ・ヨングをセントラルMFに置くことで、ジョルジニオ・ワイナルドゥムが1枚上がりトップ下を務めることになった。
これまで代表チームでのパフォーマンスが今ひとつだったワイナルドゥムは、このコンバートで蘇った。ペナルティーエリアの中に走り込む彼のフリーランニングは、オランダにエネルギーとダイナミズムを生み出した。
デ・ヨングのゲームメーク能力、ワイナルドゥムの爆発力、そして1人、コントローラー(マルテン・デ・ローンかダフィー・プロッパー)を置くことで、オランダの中盤は完成した。
ストライカーのポジションには10番タイプのメンフィス・デパイが定着した。「最前線のゲームメーカー兼チャンスメーカー」という表現が当てはまる、創造的なプレーをデパイは見せている。メンフィスが落ちれば、中盤で数的優位を作れるし、左右のウインガー(ライアン・バベル、ステフェン・ベルフワイン、ないしはクインシー・プロメス)が中央に入るスペースも生まれる。前線では決定的なパスも出せるし、ドリブルからの仕掛けもある。