力のあるチームも、目の前の問題を放置していると悲劇が待っている
小池の言葉からは、岩瀬監督が選手たちに明確な方向性を示していたことがうかがえる。指揮官はやるべきことを整理し、選手たちに向き合った。「シンプルなことを何回も言われました」と小池は話したが、突拍子も無い何かではなく、勝利のために必要なことを口酸っぱく伝えたのだった。
監督がシーズンに2度代わるというのは、非常事態だ。クラブはその都度、最善と考えられる手を打ったのかもしれない。とはいえ、2度目の決断は遅かったと言わざるを得ない。これ以上の混乱を招かないための判断だったとしても、結局は監督を代えるしかなくなった。ピッチ上の戦い方も不明確だったが、それはクラブにも言えることだ。加藤監督へのサポートは十分だったのかという点も含め、今季の失態を検証しなければならない。
シーズンを通して見れば、レイソルの降格は必然だった。ピッチ上で繰り広げられるサッカーだけを見ても、迷走ぶりは明らか。力のあるチームも、目の前の問題を曖昧なまま放置していると悲劇が待っているということだ。
1年でのJ1復帰、さらには2011年に成し遂げたような昇格即優勝という未来を描いているとしたら、それは甘い。昨季に降格したヴァンフォーレ甲府、アルビレックス新潟、大宮アルディージャが来季の昇格を逃がしたように、J2のレベルは年々上がっている。
質の高い選手が来季もそのままプレーしてくれるとも限らない。クラブ全体が大きく生まれ変わらない限り、たとえJ1に戻ってきても、いずれ同じことを繰り返してしまうだろう。
(取材・文:青木務)
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