C・ロナウドが流れを変える
一方、組織守備そのものも堅かった。ユーベがボールを奪って速攻を仕掛けた際には全員がいち早く戻って、守備のラインを整える。しかも後方から敵の選手が上がってくれば目を離さず、ボールを持たない選手の走り込みにも細かく気をつけてマークを外さなかった。DF、MFはもちろんのこと、2トップも下がることをいとわずにチームを助け、全体の布陣をコンパクトに保ってユーベの攻撃を封じていた。
そんな彼らの前に、大きなチャンスを作れずにいたユーベ。しかし28分、セットプレー1つであっさりと均衡を破ってしまう。そこで仕事をしたのは、やっぱりC・ロナウドだったのである。
相手ゴールから20m手前のところで得た右フリーキック。ミラレム・ピャニッチがゴールエリア付近に正確なボールを落とす。相手の壁と同じラインにポジションを取っていたC・ロナウドは、絶妙な反応でこれに喰らいつき、ダッシュをしながら左足ボレーで合わせた。
恐るべきはその反応の速さである。SPALの選手が捕まえにかかるが、1、2歩目の飛び出しがすでにトップスピードになっており、体を寄せきれない。そのまま落下点に寄り、迷いなく左足を合わせる。ボールがそこに来ると確信していたかのような思い切りの良さだった。
ピャニッチが正確なボールを送りさえすれば、それを押し込んでくれるストライカーとしての実力の高さ。これでシーズン9ゴール目、移籍時の期待通りに得点源として機能を果たすようになっている。
こうしてリードを奪うことに成功したユーベだが、より素晴らしかったのは後半である。ペースを緩めずに積極的に攻めて、SPALを自陣へと強引に押し込んでいった。追加点こそ1点だけにとどまったが、隙を与えることなく相手を畳み掛けたのはさすがだ。
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