ターンオーバーを敷いても…
隙がない。ユベントスはチャンピオンズリーグ(CL)のバレンシア戦をにらみ主力を温存したが、メンバー入れ替え時にありがちな番狂わせを許さずSPALに完勝。目下正GKであるヴォイチェフ・シュチェスニーの代わりにまっティア・ペリンがゴールマウスを守ったが、彼が頑張らなければならないシーンそのものがないくらいにチームは安定していた。
クリスティアーノ・ロナウドは、先制点となる今季9ゴール目を決めるのみならず、攻撃をリードしてすっかりエースとして定着。むろん彼だけでなく、2トップでパートナーとなったマリオ・マンジュキッチや、4試合出場停止の影響でチームの快進撃に出遅れていたドグラス・コスタらも活躍した。試合に出たほぼ全員が機能し、ユーベの勝利に貢献した。
このところ4-3-3で固まっていたシステムを4-4-2に変えながらも、攻撃にも守備にも淀みをきたすようなところはあまり見当たらなかった。メンバーを入れ替えてもプレーの質は高く保たれ、肝心要の結果もきちんと出してくる。ユーベのチーム力がまた一段上がったことを実感させられた一戦だった。
まず踏まえなければならないのは、SPALは決して悪くはなかったということだ。むしろ前半の30分くらいまでは、アウェイでありながら中盤の競り合いを制して主導権を握っていた。
大きな戦力差のある格下でも、引いて守るサッカーはしてこなかった。3-5-2のシステムのもと、高い位置からプレスをかけてボールを奪いにいく。そしていざボールを保持すると、選手たちは5mから10mほどの間隔を保って、ボールに対して必ず3人の連係でショートパスを回して攻めた。後方のディフェンスラインも、ユーベの前線のチェックにひるむことなくパスをつなぎ、展開を作っていた。