アトレティコの守備重視には批判も
しかし、ドラマは待っていた。89分、中央でメッシがボールを受けると、右サイドでフリーとなっていたウスマンヌ・デンベレへパス。途中出場の同選手は左足で冷静にゴールへ流し込んだ。
メッシにボールが入った瞬間、コケとビトーロの2枚が寄せに行ったのだが、そこでボールを奪いきることができなかったのが痛かった。左サイドバックのフィリペ・ルイスは中に絞っている状態であり、デンベレがフリーの状態となるのは言ってしまえば必然だった。最大の問題は、その場面でメッシへのパスコースを開け、そこでボールを取れなかったことだ。
それまで堅守を築いていたアトレティコのほんの一瞬の隙。この1点により、ホームチームは勝ち点2を落とす形となった。
ただ、冒頭で紹介したデータを見ても、これほどバルセロナにあらゆる面で上回れながらも勝ち点を奪うことができるのはさすがと言うべきか。それも、勝ち点3奪取まであともう少しだったのだから。
バルセロナのブスケツは試合後、アトレティコの守備重視の戦い方を批判したと言うが、これもサッカーの一つだ。そこである程度の結果が出ている限り文句を言うことはできないし、そのチームがどんな戦術プランを用いようが、それはその監督やチームの勝手だ。もっと言えば、固い守備が自慢のアトレティコだからこそ、こうした守備重視の戦い方ができるのではないだろうか。
見ている人からすれば、少し退屈な試合内容になる時もあるだろう。ただ、公式戦では内容より結果が求められるのがプロの世界。アトレティコの守備重視の戦い方は、その結果を求めたが故のプランだ。
まさにリーガ・エスパニョーラの頂上決戦。そんな響きが似合うような試合だったのではないだろうか。
(文:小澤祐作)
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