外国人の選手はコミュニケーションが上手い
-コミュニケーション上手な選手っていましたか?
「外国人はそのあたり上手です。ファウル後や試合後に「ゴメンナサイ」って謝ってきたり。次の試合のことを考えていますよ。レフェリーと上手くコミュニケーションする文化があるんでしょうね。日本人は試合後の握手をちゃんとしない選手もいますから。けど、カズやヒデ(中田英寿)は上手でしたよ。誤審をしても「次はお願いします」とか。審判を受け入れてくれる。そういうのに励まされちゃうんです(笑)」
-ここからは小幡さんの現在についてお聞かせください。と昨年定年(65歳)を迎えられていますが、現在も日本サッカー協会に在籍されています。
「去年までは審判指導の仕事をしていたんですが、定年を迎えたので今は業務委託として、どの試合に誰を派遣するかを決める“審判割り当て”のサポートをしています」
-割り当てられた審判は当然試合ごとに評価をされると思うのですが、どういう基準で判断するんですか?
「主審は、競技規則の解釈と適用、マネジメント、ポジショニングと動き、パーソナリティー、チームワークを総じて、副審は、オフサイドの判定、その他の判定、ポジショニングと動き、シグナル、チームワーク、態度とメンタリティーを総じて、10点満点で評価します。現在は、8.0点以上が合格。試合によってアセッサーという評価者が違うので一貫性をもった採点については常にすり合わせをしています。評価点を統一するのは難しい。あと、評価点は付けますが、それ以外で審判が伸びるようなコーチングをするように心がけています」
-コーチングの話題が出ましたが、小幡さんは元教師ということもあり「人を育てる」ということに重きを置かれているように感じます。今年度から入学された筑波大学院でも「U-18の3級審判」をテーマに修士論文の研究をされていると聞いています。若手指導にフォーカスする背景には何があるのでしょうか。
「世界の審判は若年化しています。20代前半で国際試合を担当する事例もでてきている。一方で日本人で国際試合を担当するのは若くても20代後半。もう大学生でJリーグの試合を担当するくらいになって欲しいと思っています。アジアの中でも日本の審判の地位は決してトップではありません。今以上に色々な側面で課題を解決しなければいけない。そういう危機感はもっています」