EUROで若いスタイルは通用するのか?
もちろん「若いスタイル」を試して、まだ3試合だ。レーブ監督は「プロセスは長い」と考えている。“最適解”を見つけ出すために、メンバーには手を加えていくという。若い選手たちを招集し、経験を積ませるためのチャンスを与えるつもりだ。今回のオランダ代表戦で同点に追い付かれたことの一因に、指揮官は経験不足を考えている。これからEURO2020本大会までの時間で、予選と親善試合を通して、若手が経験を積み、カウンター型に磨きを掛けていくことはできるだろう。
だが、オランダ代表戦での“ガス欠”の事実を考えると、この「若いスタイル」は“プランB”に留めた方が良いのではないか。前線のサネ、ニャブリ、ヴェルナーにハードなスプリントを要求し続けるこのカウンター型を、予選の中の1試合といったように局地的に用いるのであればまだしも、EUROのようなビッグ・トーナメントで決勝を目指して毎試合使うとなると、選手たちへの負担が大き過ぎる。スピード系のドリブラーが怪我で次々と離脱してしまっては、元も子もない。“プランA”としてはやはりポゼッション型を構築し、対戦相手や試合の展開と時間帯に応じてカウンター型に切り替える…といったように、柔軟性は必要になるはずだ。
ネーションズリーグの最終戦で、柔軟に対応したからこそ、オランダ代表の選手たちは同点に持ち込むことができた。一方、そういった対応力を欠いたドイツ代表は、同点に持ち込まれてしまった。
ロシアワールドカップを終えてレーブ監督が試行を始めたカウンター型は、「再び未来への希望と喜びをもたらした」。だが、そもそも「希望」とは可能性に過ぎないものだ。「親善試合」でロシア代表に快勝しただけで、結果が出たとは言い難い。今のところ、「若いスタイル」は「いささかぐらついた」ものに留まっている。
(文:本田千尋【ドイツ】)
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