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ドイツ代表、W杯のその後。カウンター型への移行も前途多難…旧世界王者に希望はあるか

text by 本田千尋 photo by Getty Images

レーブ監督を待っていたのは“ガス欠”

ドイツ代表
新システムは序盤こそ破壊力を持っていた。が、前線の3人への負担は大きかった【写真:Getty Images】

 後半に入っても、ドイツ代表はスピードでオランダ代表を苦しめた。62分、相手の直接FKのクリアボールをニャブリが拾うと、サネとヴェルナーが即座にギアをトップに入れて走り出す。ニャブリは左前方のヴェルナーにパス。RBライプツィヒ所属のFWは、右SBケニー・テテの追走を制して左足でシュート。ボールはわずかにゴールの右に逸れていったが、前線のトリオを中心とする爆発的なカウンターの驚異をまざまざと見せつけた。

 前半に続いて守備も固いドイツ代表。このまま2-0で勝利を手中にする…はずだった。新システムには泣き所があったのだ。後半にレーブ監督を待っていたのは、“ガス欠”だった。

 まず、63分にヴェルナーがマルコ・ロイスと交代。続いて66分、ニャブリがトーマス・ミュラーと交代。そして80分、サネがゴレツカと交代。オランダ代表を脅かし続けたトリオを次々と下げた理由を、試合後にレーブ監督は、次のように説明している。

「ニャブリは既にハーフタイムには限界だった。ドクターが私に言ってきたんだ。セルジュが後半を耐え抜けるかどうか確実ではない、とね。彼は筋肉に少しばかり問題があった。他の2人、ティモとレロイは、途方もない距離を走って、かなり多くのスプリントをこなした。守備面においても3人全員が良く働いてくれた。彼らは少し疲れていたし、新鮮な力を持ち込もうとしたんだ」

 こうして次第にテンポを失っていったドイツ代表は、サネが退いた後の最後の10分間で、手にしたはずの勝利をみすみす手放してしまう。85分にペナルティエリアの手前でゴレツカがボールを奪われると、細かく繋がれ、クインシー・プロメスにミドルシュートを決められる。

 そして90分、前線に上がりっぱなしだったビルヒル・ファン・ダイクに豪快なシュートを許して、同点に追い付かれてしまう。そのまま試合は終わり、結果は2-2のドロー。ネーションズリーグ4試合を終えて、ドイツ代表が積み上げることの出来た勝ち点は、たったの2ポイント。“旧世界王者”は、ロシアワールドカップに続いて、グループ最下位の憂き目に遭ってしまう。試合後のドイツ代表が拍手で讃えられることはなかった。かと言って、ブーイングもない。ただ家路を急ぐ観衆。冬の冷たい空気が、アレーナに漂っていた。

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