7戦全勝の大学生
「うーん、シャドーはほぼ初めてなんですよ」
タッチライン際で勝負するのと、ハーフスペースでのプレーでは、どちらが得意なのかと質問したのだが回答が意外すぎた。
11月6日、延期されていたJ1第28節のセレッソ大阪対名古屋グランパスが行われた。決勝の1ゴールを決めた相馬勇紀は、この日のキンチョウスタジアムで最も光るアタッカーだった。名古屋のフォーメーションは3-4-2-1、相馬は前田直輝とともに左右のハーフスペースを主戦場としていた。
3日前のヴィッセル神戸戦の後半から、名古屋はこのフォーメーションに変えている。攻守両方でいわゆる「5レーン」を埋めてしまえということだろう。両アウトサイドの運動量が生命線だが、攻撃のカギを握るのはハーフスペースにいる選手だ。フィールドを縦に5つに区切った場合の左から2つめのレーン、そこが相馬のプレーエリアになる。
前半、相馬は立て続けに3本のシュートを放っていた。クロスボールも何本か。いずれもゴールには結びつかなかったが、最も得点の臭いを感じさせるプレーヤーだった。後半8分にはヘディングで決勝点をゲット。最後の15分間は右アウトサイドにポジションを変えた。
相馬はもともとアウトサイドのプレーヤーで左右どちらもできる。初速のスピードが素晴らしく、縦にぶっちぎれるのが魅力だ。ただ、C大阪戦を見た限りでは、大学でもシャドーでプレーしているのだろうと勝手に思い込んでいた。「ほぼ初めて」というには堂々としすぎていた。
「名古屋で練習をしてみて、あまりポジションは関係ないかなとは思っていました。相手を見ながら動けばいい。シャドーのポジションはシュートチャンスがありますし、ゴール近くでプレーできる。自分としても発見というか収穫がありました」(相馬)
大学と掛け持ち、これまで7試合に出場して1得点3アシスト。何より、相馬が出場した試合はすべて勝っている。