「MCN+ディ・マリアを止めるのは無理」
そんな、センターバックにとってことさら厳しい戦場であるプレミアリーグで長年戦ってきた猛者も、「ネイマール、エムバペ、(アンヘル・)ディ・マリアを同時に止めるのは無理」と“お手上げ”の表情だった。
しかしながらこの試合は、軽い負傷でエディンソン・カバーニは欠場していた。本来なら、今季のPSGの攻撃陣は、エムバペ、カバーニ、ネイマールのMCNトリオ+ディ・マリアの4人体制なのだ!
完全なPSGの一頭レースか? と尋ねると、「追いつくのは簡単じゃない。だから僕らがすべきことは、自分たちにフォーカスすることだけ。一戦、一戦、勝利を探っていくことだけだ」と、首位のPSGは、もはや手の届く存在として意識していない様子だった。
9節では、国内の強豪リヨンを5-0で粉砕し、PSGはリーグ・アンの開幕後連勝記録を達成している。
リヨンのジャン・ミシェル・オラス会長もつい最近のインタビューで、「我々のような“地方の小クラブ”がPSGほどの規模のクラブに太刀打ちするのは無理。目標にしているのは2位のポジション」と、PSGとその他のクラブとはすでに別リーグであると語っている。
リヨンはフランスではPSGに次ぐ予算を有している。それでも彼らの年間予算は、PSGがネイマール一人の獲得に投じた移籍金と変わらない金額なのだ。
栄えあるPSGの新記録も、他国では、事実関係が淡々と語られているだけの報道が目立ったように感じたのは、気のせいか。ネイマールやエムバペといったスター選手の存在、マイケル・ジョーダンとのコラボ商品など、世界中でPSGのイメージ的な人気は爆発的に向上している。アメリカでは、シャツの売り上げは、マンチェスター・ユナイテッド、バルセロナに続いて3番人気だという。
しかし真の評価は、やはり結果なしにはついてこない。その結果とは、欧州の王者になること、チャンピオンズリーグ優勝だ。
(取材・文:小川由紀子【フランス】)
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