柴崎が入ったことによる変化
こうしたリスク管理とボール奪取を並行して発揮できるのは、2人のボランチが攻撃に関わりながらも常にディフェンスの準備を考えているコンビならではだ。ただ、キルギス相手では少し後ろに重たい布陣であったことも確か。
組み立てに関しても守田としては「もうちょっと前を信じるというか、自分がその後のことを考えすぎて、前の選手は欲しかったというリアクションを取る選手もいましたし、そこはやっていって、経験というか、すり合わせていかないといけない」と振り返るように、横に揺さぶる基本スタンスの中でも、もっと積極的に縦にボールをつけることを選択できたシーンがあったと考えている。
この三竿&守田のボランチコンビに関しては、より強度の強い相手の方が機能性を発揮することは明らかだ。59分にはこの2人のうち三竿が下がり、柴崎岳が入るとボランチの起点としての役割も変わってきた。
「追加点をしっかり取りにいきたいと思っていましたし、試合の展開自体も後半に入ってスローダウンするのではなくて、チームとして上げていかないといけない部分があったので、僕が入ってからはそういうことを意識して、なるべくテンポよくプレーしながら、あとは周りの前線の選手が(交代で)入ってきて、リズムが変わってきた部分もあるので、中だるみせずに、自分たちの求めるインテンシティ、求める形を主体的に表現していけたと思います」
そう語る柴崎はなるべくポジションを落とさずに、組み立ての流れで少し後ろに顔を出すことはあっても、なるべく前の方で関わることを意識していた様子だ。「1人が下がったら、もうひとりは前目にポジションを取るというのは、このチームになってから僕のやることなのかなと思っている」という柴崎はボールを動かすだけでなく、自分も動いて味方からパスを引き出し、起点として関わった。
64分に原口と左寄りでパス交換した柴崎が右サイドの室屋に展開し、そこから高い位置まで上がっていったシーンがあった。右サイドで室屋からボールを受けた堂安律が突破できなかったために攻撃は終わったが、2人のボランチがビルドアップに関わりながら、サイドを起点にするタイミングで1人は前目にポジションを取って攻撃に迫力を出すという柴崎のビジョンを守田も徐々に共有して絡めていけていた。