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日本代表 6年前

NMDの凄み、中島に許されるプレーとは?「彼らの面白い距離感が試合のテンションを上げる」【宮澤ミシェルの独り言】

シリーズ:宮澤ミシェルの独り言 text by 青木務 photo by Junichi Ebisawa , Getty Images

チーム内格差は広がった?

 森保監督体制となって5試合を戦ったけど、現時点での形はある程度見えてきた。繋ぎの中で選手の距離感を整えて、攻撃のバリエーションを増やしていく。そのベースはコンパクトに守るということと、基本的な部分は見えている。状況に応じた戦いの中で、前から行けない時はリトリートして後ろでコンパクトに保つ。選手の距離感は、ロシアワールドカップで見せたような。あれが日本だよね。

 それを実現するためにより強固な個人の質を高める。突破型、個の要素が組織の中で出てくるように徹底的にやるよね。こだわっているなと思う。

 ただ、ボールの動かしについてキルギス戦なんかを見ていて思ったのは、リスクを冒さないサイドチェンジをするよね。一本でフォワードに当ててもいいのに、そのリスクはなかなか負わない。後ろに戻して繋いで、と。ああいうのが例えばバルセロナだと一発で行くんだ。左サイドの高い位置を取っているジョルディ・アルバのところにセンターバックから一気に入れてくる。

 選手心理として慎重になる部分はある。そこをどういう風に伝えていくか。リスクを冒すというより、正確にやればいいだけという考え方もあるよね。僕もジェフに来た時に言われたんだよ。「アウトサイドからフォワードの頭の上を越すようなパスは危ないからやめろ」って。だけど、それは僕の特技だから。成功する確率の方が高いとわかっているから勝手にやるわけだ。

 そういうトライがもっとあっていい。ちょっと後ろの回しの時に安パイな選択が多すぎたというのは見ていて思ったね。そこがもっと早く回るようになれば、局面を変えられるし、チームとしてプラスになってくるよね。

 キルギス戦後半途中から中島たちが出てきて一気に試合を決めた。それまでピッチに立っていた選手たちの突き上げは物足りなかった、という見方もあるかもしれない。確かに2チーム分は完璧には作れなかった。でも、サブのピースとして考えたらすごく幅が広がったなと。心配な選手が一人もいないし、誰でも使える。森保監督がよく考えてチームを作ってきていると感じるんだ。

▽語り手:宮澤ミシェル
1963年7月14日、千葉県出身。Jリーグ黎明期をプレーヤーとして戦い、94年には日本代表に選出された経験を持つ。現役引退後は解説者の道を歩み、日本が出場した過去5大会のワールドカップを現地で解説している。様々なメディアで活躍。出演番組にはNHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』、WOWOW『スペインサッカー リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』などがある。

【了】

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