妥当だったオランダの首位通過
2戦目、ホームでのオランダ戦は、W杯後、初の自国での凱旋試合ということで、観衆の大声援の中、ビッグステージだとことさら燃える“お祭り男”エムバペが水を得た魚のごとく動き回って先制点、後半、“縁の下の力持ち”ことオリヴィエ・ジルーも11試合ぶりの得点を決めて、2-1で勝利を飾り、2戦無敗でグループ首位に立った。
思えば、今回のネーションズリーグ・グループリーグで、フランスが世界王者らしさを発揮したのは、この試合だけだった気がする。とはいえ、オランダのスピーディーなオフェンスにはこの試合でもかなり苦戦していて、バベルに胸のすくような速攻を決められている。
この時点で無敗でグループ首位に立ったフランスは、ホームで戦った3節のドイツ戦も2-1で勝利すると、2試合を残す2位のオランダに4点のリードと、ベスト4進出にリーチをかけた…つもりだったのだが、このドイツ戦も実はフランスはかなりの辛勝だった。
前半戦は5-2-3で挑んだドイツにゲームの主導権を握られ、ビルドアップからチャンスを作れずカウンター頼みに。相手にPKから先制を許した後、後半、アントワーヌ・グリーズマンがヘディングで同点に返し、さらにブレーズ・マテュイディがエリア内で倒れてゲットしたPKも決めて2-1で逆転したのだが、これがVAR判定を採用した試合なら、まずマテュイディに与えられたファウルは無効だったから、フランスは運を味方につけての3ポイント獲得だった。
このフランス代表の微妙さと、オランダ代表の溌剌とした戦いぶり、そして、ドイツの覇気のなさからいって、グループ1のオランダの逆転首位は至極妥当だったという気がする。と同時にあらためて実感するのは、W杯でのデシャンの采配の素晴らしさだ。
「守備的でまったくプレーをしかけない」と、自国メディアからも非難の声が挙がったが、選手たちが迷いなくやるべきことに没頭できる体制を作った、あの優勝は、やはりその判断と実行力があってこそ手に入れられたものだったと思える。