「カルテット」に見せつけられた力の差
日本代表初キャップの山中亮輔が決めた開始2分の先制弾に始まり、19分の原口元気の直接フリーキック、攻撃陣を入れ替え始めた71分の大迫勇也と73分の中島翔哉の3点目と4点目…。森保一監督率いる日本代表の2018年ラストマッチとなった20日のキルギス戦は4-0の圧勝で終わった。
FIFAランキング90位の相手にボール支配率66.2%対33.8%、シュート数16対1という内容は順当と言えるが、これで来年1月のアジアカップも勝てる保証にはならない。というのも、指揮官が語っていた「チームとして2セット分、それ以上の幅を持って戦えるようになりたい」という理想像に近づいたとは言い切れない部分があるからだ。
キルギス戦で代表デビューを飾った山中、初先発した守田英正らはポジティブな印象を残したが、不安が募ったのは攻撃陣。この日は1トップに杉本健勇、2列目は右から伊東純也、トップ下に北川航也、左に原口という構成で挑んだものの、彼らの推進力と完成度は後半途中から出てきた大迫、堂安律、南野拓実、中島の「主力組カルテット」のに比べると明らかに差があった。
「翔哉とかシンプルにゴールにドリブルしていく選手が増えたので、思い切ってシュートを打ったりとか、自分で切り裂いて中に入っていくとか、会場が沸くようなゴールに向かっていくシーンが前で増えた。ここ最近、あのメンツ(後半途中からの4人)でやっているのでやっぱり完成度はある」と右サイドバックでフル出場した室屋成も変化を如実に感じ取った様子だ。
森保監督も「起用選手の中で全ての選手が同じレベルではないというのはグループの中ではあり得ること。ベネズエラ戦の前線の選手と力の差がある部分はあると思います」とキルギス戦後の記者会見で認めていた。
このままでは、アジアカップで大迫や中島らの攻撃力に依存する形になるのは明白だ。とはいえ、対戦国もキルギスのように自由にはやらせてくれない。「主力固定」という現状を打開しなければ、アジア制覇は難しい。そこはしっかりと認識しておかなければいけない点だ。