中島翔哉、南野拓実、堂安律ら途中出場の選手が違いを見せた【写真:Getty Images】
【日本 4-0 キルギス キリンチャレンジカップ2018】
日本代表は20日、キリンチャレンジカップ2018でキルギス代表と対戦し4-0と勝利した。
2018年ラストマッチを、森保ジャパンはゴールラッシュで飾っている。ベネズエラ戦からスタメン全員を入れ替え、開始早々に代表デビュー戦の山中亮輔が初得点を記録。19分には原口元気がFKを沈めた。2013年9月のグアテマラ戦で遠藤保仁(ガンバ大阪)が決めて以来の直接FKによる一撃だった。
しかし、インパクトを残したのは途中出場の“主力組”だった。
この日、前線の4枚は原口、伊東純也、北川航也、杉本健勇が先発。各々に持ち味を出す場面はあった。原口は得点だけでなく鋭いドリブルも披露。伊東のスピードは躍動感があり、北川は抜け目ない動きを繰り返した。杉本もいい判断から先制点をアシストしている。それでも、2-0にしてからは攻撃が淡白になる。パスは引っかかり、個人による打開も相手を崩すには至らない。チャンスは作っていたからこそ、決定力不足の印象が色濃くなった。
そんな状況を一変させたのが中島翔哉、南野拓実、堂安律の“NMD”トリオであり、ストライカーの大迫勇也だった。72分に大迫がネットを揺らすと、1分後には投入直後の中島が右足で加点。あっという間にリードを4点に広げた。特に中島の得点は、大迫のパスから南野のドリブル、堂安のワンタッチパスを経由して生まれたもの。ゴールという目的に向かって同じ絵を描き、それを完成させるクオリティを示したと言える。
ベネズエラ戦で出番の少なかった面々にとってキルギス戦はアピールの場となったが、“主力”と“控え”の差が如実に表れる結果に。とはいえ、スタメン出場した選手たちにとっては難しいゲームだったかもしれない。
キルギスはFIFAランキング90位と実力的にも日本より劣るチーム。来年1月のアジアカップでの戦いも視野に入れてのマッチメイクだと思われるが、こうした相手との親善試合は“危険”が伴う。早い段階で複数得点を奪った日本は、その後も攻め続けたものの粗が目立つ展開にもなっていた。恐らくメンバーを代えなくても勝利はしたはずだが、内容は課題が残るもので、いわゆる『勝っただけ』というゲームになってしまうところだった。
そして、そういった試合はもやもやした空気だけが残り、それまで続いていた成長や勢いがストップしてしまうことも往々にしてあるものだ。例えば2006年ワールドカップ直前のテストマッチ、ドイツと互角に渡り合ったにもかかわらず、次のマルタ戦を収穫の乏しい1-0で終えた時のように。当時の日本は期待されながらもワールドカップ本大会で惨敗している。
一方で、中島、南野、堂安、大迫が揃えば停滞ムードを一瞬で消し去れるということでもある。森保一監督体制が発足して数ヶ月で、強力なユニットを持てている事実はポジティブに捉えていいだろう。
この日は途中出場したメンバーが千両役者ぶりを見せた。快勝で2018年を締めた日本だが、単なる主力頼みのチームなのか。それとも主力は本当の意味で別格なのか。その真価は森保ジャパンにとって最初の公式戦、アジアカップで問われることになる。
【了】