セットプレーを突破口に
そうなればキルギスにとっては自陣に引いて守備を固める戦いが最も合理的か。槙野智章は「もしかしたら今まで以上に難しい相手かなと思っています」と話していたが、森保ジャパンは発足から4試合連続で中南米の力のあるチームと組み合ってきて、「アジアの戦い」をまだ経験していないだけに、引いた相手からゴールを奪ううえでの明確なアイディアが求められる。
とはいえ日本も「いつものメンバー」で戦うわけではない。森保監督は16日のベネズエラ戦から大幅な先発メンバーの入れ替えを明言しており、選手間の連動や連係も完璧とは言えない状態で戦うことになるだろう。そこで突破口となるのはセットプレーだ。
GKも含めた守備陣や前線にも身長180cmを超える大柄な選手が揃うキルギスは、マレーシア戦でセットプレーから再三ゴールに迫った。右利きのエドガー・ベルンハルト、左利きのアフリディン・イスライロフが蹴る精度の高いキックは警戒せねばならない。ロシアワールドカップで猛威を振るったイングランド代表の、縦1列に並んだ状態から決められた動きをしてフリーの選手を作る形を参考にしたであろうコーナーキックも見られた。
だが、セットプレーの守備面はかなりお粗末だったと言わざるをえない。基本はマンマークとゾーンの併用で、ゴールエリア内にニアサイド、中央、ファーサイドと均等に1人ずつがストーンとして立ち、相手のペナルティエリアに入ってくる人数に応じてマンツーマンのマークをつけながら、残った選手がフリーマンとしてゴールからやや離れた位置に立つ。
ところがアゼルバイジャン戦の17分にはボールから遠いサイドでのマンツーマンのマークをバックステップであっさり剥がされて失点。さらにもう1つ、ほとんど同じ形からニアサイドでまたもマークをやすやすとかわされてアゼルバイジャンの選手に有利なポジションを取られ、2失点目を喫した。
マークについていない各ゾーンを守る選手がボールウォッチャーになる傾向があり、そこは日本も積極的に突いていくべきところ。アジアカップでも自陣に引かれた相手に対して展開に関係なくゴールを奪えるセットプレーは重要になってくるだけに、今回のキルギス戦で自信をつけられれば理想的だ。