キルギスの基本戦術は?
グループリーグで韓国や中国、フィリピンと対戦するキルギスは、当然ながら苦戦が予想される。クレスティニン監督も「多くは望んでいません」と認める通りで、その中でも「グループリーグ突破」を目標に掲げた戦いを、この日本戦から実践していく。
最近のキルギス代表は10月にマレーシアのジョホール・ダルル・タクジムの2軍(6-0勝利)や、マレーシア代表(1-0勝利)と対戦。9月にはパレスチナ代表戦(1-1引き分け)やシリア戦(2-1勝利)があり、いずれも実力拮抗かそれ以下のチームとの試合だった。
これら試合のように自分たちのやりたいことを積極的に出していける試合は、キルギスにとって始めてのアジアカップで再現できないだろう。よって最も参考になるのは5月に0-3で敗れたアゼルバイジャン代表との親善試合になる。
アウェイに乗り込んでの格上との戦いに挑んだキルギス代表は、4-1-4-1をベースにマンツーマンディフェンスを敷いた。しかし、戦術的に「人」につく守備をするため、ボールを相手に明け渡すと4-3-2-1のような形に。両サイドハーフが高い位置をとるアゼルバイジャンの両サイドバックに貼りついて最終ラインの手前まで下がり、インサイドハーフの2人を少し前に出して相手センターバックからのビルドアップを阻もうとした。
日本のDF山中亮輔はスカウティング映像を見たうえで相手の布陣について「5-4-1だと思う」と語っていた。アゼルバイジャン戦では流れの中でアンカーの選手が最終ラインの一角に落ちて5バック気味になり、インサイドハーフを下げて5-4-1に近い形で構えるシーンも見られた。
試合開始から5バックを採用していたのは9月のパレスチナ戦と17日に日本で行われた鹿島アントラーズとの練習試合で、クレスティニン監督が作るチームは相手に合わせて柔軟にシステムを変えながら戦う方法を落とし込めているように見える。20日の日本戦も5バックを採用すれば、それがアジアカップでも基本戦術になっていくだろう。
「日本といえばつい最近アジアカップでチャンピオンになって、ワールドカップにも当たり前のように出ています。アジアのサッカーではリーダーとして見ています。明日はそういうチームと戦うつもりでいます」
クレスティニン監督がそう語るように、キルギスは日本をある程度リスペクトして無理に主導権を握りにいく戦いはしないはず。5バック採用の選択肢も検討しているだろうし、もし真っ向勝負で不必要なリスクを負えば、アジアカップを見据えた戦いで大量失点を喫して自信を失ってしまう可能性もある。