「彼らに任せて大丈夫」というパフォーマンスを
槙野と東口にしても、ロシア経験者ではあるが、若手に激しく追い上げられている。槙野の場合は、三浦、冨安健洋(シントトロイデン)という若手DFが台頭。加えてロシア組の昌子源(鹿島)と植田直通(セルクル・ブルージュ)が控えているだけに、森保監督と10年来の信頼関係があるといっても安泰ではない。
東口もロシアでは川島永嗣(ストラスブール)の控えに甘んじ、その川島が代表を離れてやっと出番が巡ってきたと思いきや、ベネズエラ戦で198cmのシュミット・ダニエル(仙台)がアピールに成功。安穏としてはいられなくなってきた。「いつ代表から外されるか分からない」という危機感は2人に共通するものではないだろうか。
「ワールドカップを経験した選手は、その経験したものを自分の中で変えていかなければいけない」と槙野は強調していたが、決勝トーナメント進出のかかったポーランド戦(ボルゴグラード)で戦った経験値を他の守備陣に還元しつつ、最終ラインをまとめてこそ、初めて存在価値が認められる。仮に「キャプテン・吉田麻也(サウサンプトン)がいなければ守備の統率が取れない」といった状況に陥ってしまったら、槙野がUAEに赴けなくなることも考えられる。
彼自身、日本が4度目のアジア制覇を果たした2011年カタール大会をケガで棒に振り、2015年オーストラリア大会はメンバー外となっただけに、3度目の今回に賭ける思いは強いはず。ロシアワールドカップを「3度目の正直」でつかんだように、アジアカップも同じシナリオにできれば理想的。持ち前の強靭なメンタリティで国際経験不足のチームに活力をもたらしてほしいものだ。
ロシア組が少なくなった今、キルギス戦に出る経験豊富なメンバーの一挙手一投足には大きな注目が集まる。「彼らに任せて大丈夫」という安心感を与えるようなパフォーマンスを期待したい。
(取材・文:元川悦子)
【了】