アジアカップの長く厳しい戦いに向けて
その三竿も遠藤と柴崎のパフォーマンスに関しては「2人とも攻撃も守備もできると思うので、すごいバランスもいいと思います」と認めながら「越えないといけない壁だと思うので、自分の良さをどんどん出して違う味を見せれば」と語る。三竿が自覚する「自分の良さ」とは「センターバックの前でリスク管理をしたり、安定感をもたらす」ことであり、今回招集された4人のボランチの中で最もアンカー寄りの特徴を備えている。
「そういう守備的な部分で、観てる人は分からないかもしれないですけど、やっている選手の中で、『あいつがいたらやりやすいな』と思ってくれたら」
ベネズエラ戦の遠藤や柴崎のように2列目の選手を追い越すプレーは基本的にあまりしない三竿だが、正確にボールを捌き、2列目の選手がやりやすいようにパスを出し、後ろでリスク管理していることが結局は攻撃にもいい影響を与えるという理解がある。ACL制覇も経験した22歳は「そういう思いやりがあれば次に出しやすいところにパスも出せると思う」と話していた。
三竿と守田でボランチのコンビを組むことになれば、遠藤と柴崎よりも役割がもう少し明確な関係になることが想定できる。三竿が後ろ目に構え、守田がより広範囲を動き回って2列目の選手などに絡んでいく形だ。
ただ、キルギスがベネズエラよりも引いてくる、日本がボールを持つ時間が長くなることが予想される中で三竿も「スペースはあんまりないと思うので、縦に入れるとそこも狙っていると思う。そこは横に揺さぶりながら、そこで間にチャンスがあったら出すし、なかったら(サイドに)振るというのを我慢強く相手のコートでやれれば」とイメージしている。
もちろん相手が引いてくるということは一発で裏を狙われるリスクも大きい。「攻撃している時も守備のリスクを考えて取られた瞬間にどうするかとか、そこは日頃から意識してやっているので、いつも通りやれれば」と語る三竿がいれば、コンビを組む守田も積極的に攻撃陣のサポートをしていきやすい。
これまでの流れから考えて、キルギス戦で三竿と守田が良いパフォーマンスを見せて森保監督の評価を上げたとしても、順当ならアジアカップでのボランチのファーストセットは遠藤と柴崎だろう。しかし、初戦から勝ち上がれば決勝まで、1ヶ月足らずで最大7試合を戦うアジアカップは、2人のボランチだけでは戦い抜けない。
22歳の三竿と23歳の守田の台頭がアジアカップに向けての底上げになることはもちろん、さらに先を見据えても価値あるものになってくる。まずはキルギス戦での2人のパフォーマンスに注目だ。
(取材・文:河治良幸)
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