原口元気らの起用法も鍵に
もう1つの解決策は、これまでとは異なる組み合わせを構築していくこと。68分から中島に代わって左サイドに入り、タッチライン際に張りながら得意のドリブルで局面打開を見せた原口元気は効果的なカードになり得る。実際、中へ中へと狭いスペースに入っていきがちな中島とは違い、外の幅を広く使うことで得点が生まれそうな場面も演出していた。
「あの3人がセットというわけではないし、僕も右も左もできるから、チャンスがあるところでしっかりやりたい。今日も一番いいものを探してプレーした。結果が出なかったのは悔しいけど、やり続けるしかない」と原口本人も自分が生きる術の一端を見出した様子だ。実際、原口が左サイドにいた方が佐々木翔の守備面での負担も減り、相手に崩される回数は減った。森保監督はそういうプラス要素も加味しながら、彼の的確な起用法を考えていく必要がある。
アジアカップのような最大6試合もの長丁場の大会は、固定された攻撃ユニットだけでは相手を攻略しきれない。今はチーム発足直後ということで、指揮官もあえて前線の4人を固めながら連係や連動を深めていこうという狙いがあるのかもしれないが、壁にぶつかった今回をむしろいい機会と捉えるべきだ。
20日のキルギス戦では原口や伊東純也らを中島、南野、堂安らと融合させながら戦うことが肝要だ。南野や堂安の決定力に頼らない攻撃陣を短期間で作り上げるのは至難の業だが、アジアカップまでの時間が限られている。11月シリーズの活動期間は4日間しか残されていないが、この時間を最大限有効に使うことが求められてくる。
「ここでサブの選手が点を取ればチーム内の競争は加速する」とキャプテン・吉田も語気を強めたが、ゴールを奪える選手を1人でも増やしていくこと。キルギス戦ではそこに注力し、2列目のトリオに依存する得点パターンからの脱却を図ってほしいものだ。
(取材・文:元川悦子)
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