柴崎岳の責務
今回、対峙するベネズエラは「テクニックとスピードを誇るチーム。柔軟な戦術で戦うこともできる」とラファエル・ドゥダメル監督も語っていたが、そういう相手に日本が多彩な戦いを見せられれば、チームとしてさらに一歩、ステップアップできる。アジアカップとロシアワールドカップという大舞台を経験した柴崎にはチームをその方向へと導く責務がある。
とりわけ、攻撃の組み立てに関しては、2列目トリオがタテへの推進力を強く押し出すタイプであるだけに、背番号7のゲームコントロールがより必要になる。ロシアで戦った時の日本代表はゲームメークにも加わるトップ下の香川真司がいたし、乾貴士も中に絞ってボールを落ち着かせていたから、柴崎の負担は軽減された。
が、今は前線4枚全員が純粋なアタッカー。その分、遠藤航とともにチーム全体を確実にコントロールする必要がある。柴崎が真の司令塔として異彩を放ってくれれば、8年ぶりのアジア制覇も現実味を帯びてくるはずだ。
長谷部誠という絶対的ボランチが代表を退き、青山という森保監督の秘蔵っ子がいない今、柴崎の状態に不安が増大するようでは、ボランチ陣の手薄感が顕著になり、アジアカップに向けて暗雲が立ち込める。そんなネガティブな状況を回避するためにも、彼は底力を示すべき。森保体制4連続勝利という結果を残すことにも努めてほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
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