元清水監督のゴドビ氏も絶賛
聞いたところによると、彼らはキックオフ6時間半前の翌日正午からスタジアム内になだれ込み、対戦相手に脅威を感じさせて応援するチームを後押しするべく熱気をさらに強めていくのだという。
イランを去る前に、元清水エスパルス監督のアフシン・ゴトビ氏に話を聞いた。2008年に同氏が率いたペルセポリスは、シーズン最終節のアザディ・スタジアムでの試合で96分に決勝点を奪ってリーグタイトルを手に入れた。その会場を「アジアのサッカーピッチのコロッセオ」と呼ぶゴトビ氏は、ペルセポリスのファンがいかに熱狂的であるかを説明してくれた。
「ペルセポリスはアジアでの特に人気のあるクラブのひとつ。おそらくは最も人気の高いクラブだろう。3000万人のファンがいるからね」とゴトビ氏。
「ペルセポリスの選手や監督であれば、世界のどこを訪れたとしても、町中のどこかでイラン人のファンに見つけられる。駆け寄ってきて、ある試合でいかにして勝ったり負けたりしたか、あるいはどういうプレーを見せたかについて話をしてくる。それがペルセポリスのファンの持つ情熱だ」
「日本のサッカーにとっても、もちろん鹿島のファンにとっても大きな意味のある試合だ。だがイランのファンにとってその意味の大きさは10倍か、おそらくそれ以上だろう。イランの人々にとっては、心の中でサッカーが占める場所が違う。ペルセポリスは特にイランのファンの心の中に特別な場所を占めている。ペルセポリスのファンとして生まれてペルセポリスのファンとして死ぬ。そういうものだ」
試合日にスタジアムに到着すると、そのことがはっきりと理解できた。当然ながら彼らは期待通りにそこにいた。ピッチへと通じる威圧的な通路を歩いていくと、熱気を高める何万人ものファンが絶え間なく吹き続けるホーンの音がBGMとなる。
その終端に到達すれば、キックオフ4時間前にしてすでにほぼ満員となったスタジアムの赤い集団に迎えられた。言葉では言い表せない大音量の中、Jリーグのより穏やかな環境に慣れ親しんだ鹿島の選手たちは、この敵意の中で冷静さを保つことができるのだろうかと考え始めていた。