今こそ、日本の外へ羽ばたく時
日本では珍しく「ファウルで潰す」ことのできる魅力もある。相手にカウンターのチャンスを与えた時、日本では多くの場合チーム全体で下がりながら、時間をかけさせることが重要とされる。危険な状態でボールを失った瞬間に、相手陣内でファウルで止めてしまうような選手は少ない。
だが、三竿は危険だと判断すれば、即座にファウルでプレーを止めさせる「勇気」がある。“鹿島らしさ”と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、勝つために最善の選択をするという当たり前のことを、22歳の若さでもしっかりこなす。これが国内最高の守備的MFと評価される所以だろう。
だからこそ、三竿にはできるだけ早く海外へ飛び出してもらいたい。長谷部は身長180cmと日本人MFとしては長身の部類に入り、今では所属クラブでセンターバックも担う。身長181cmと体格に恵まれた三竿にも偉大な先輩とほぼ同等の身体的ポテンシャルがあって、成長への意欲に溢れる。
さらに幼少期をカナダで過ごしていたことによって、海外に挑戦するうえでの前提条件となる英語でのコミュニケーションも苦にしない。明るい性格で新しい環境に飛び込むことも苦手ではないはずだ。
サッカーで肝になるセンターラインを固め、日本代表のこの先の戦いをより安定させていくには、三竿の成長が不可欠。かつて長谷部は24歳になる直前に浦和レッズからドイツ1部のヴォルフスブルクへと旅立ち、サムライブルーのキャプテンを務めるまでになった。
三竿は4年後のカタールワールドカップを26歳で迎える。長谷部も初めてのワールドカップ出場は2010年の南アフリカ大会。初戦の直前に岡田武史監督から日本代表のキャプテンマークを託された時、彼は26歳だった。やはり世界を相手により高いレベルで戦うには、できるだけ早い時期から欧州の第一線の競争力を体感しておくに越したことはない。
現時点で三竿の日本代表での序列はダブルボランチの控えにすぎない。だが、11月のベネズエラ戦とキルギス戦、そして来年1月に迎えるアジアカップで自らの実力とポテンシャルを世に示せれば、将来への可能性は大きく広がるだろう。
(取材・文:舩木渉)
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