ACL制覇。イランでの貴重な経験
このところ、本田圭佑や長谷部誠といったロシアワールドカップを最後に日本代表から去った者たちの「ロス」が叫ばれている。彼らの役割を引き継ぐのは誰なのか。2列目のアタッカー陣の充実には目を見張るものがあるものの、他のポジションが必ずしも安泰とは言い切れない。
一方で、次世代を担う選手たちが国際舞台で貴重な経験を数多く積んで成長速度を上げている。U-19日本代表はAFC U-19選手権で開催地インドネシアの6万人のサポーターに囲まれた完全アウェイの一戦を制し、来年のU-20ワールドカップへ進む権利を掴み取った。
U-21日本代表も同じくインドネシアで、負けはしたもののソン・フンミンやファン・ウィジョらA代表クラスのオーバーエイジ選手を多数擁するU-23韓国代表と大熱戦を演じた。アジア大会の銀メダルは悔しさこそあれ、誇るべき勲章になった。
そしてAFCチャンピオンズリーグでも、鹿島アントラーズの面々が頂点に立った。日本勢としては昨年の浦和レッズに続く2年連続の快挙。決勝2ndレグでは10万人にのぼるペルセポリスのサポーターが、イランの首都テヘランの巨大なアザディ・スタジアムを埋め尽くし、鹿島の選手たちを威圧する。
鹿島がボールを持てば、8年前の南アフリカワールドカップで大流行した「ブブゼラ」らしき、けたたましいホーンの音がスタンドのいたるところから威嚇してくる。そんな環境でペルセポリスの猛攻に耐えきり、“常勝軍団”はクラブ史上20個目となるタイトルを獲得した。
アザディ・スタジアムでピッチに立っていた鹿島のMF三竿健斗も「あの雰囲気はなかなかない」と振り返る。「鹿島が獲ったことのないタイトルなので、それを獲って歴史に名を残すというのをずっと考えていた」という22歳は、これ以上ないほど貴重な経験を積むことができた。
「ゴールキックになった瞬間、ボールがすぐ出て、置いて、蹴るというのはJリーグではまずない。(ゴールキックに)なった瞬間にスプリントして戻ることもないので、なかなかない経験でしたけど、海外とか特にスピード感とか、ああいう感じだと思うので、経験できてよかったと思います」