10月のパナマ戦、権田は約3年7ヵ月ぶりにA代表のゴールを守った
「日本人のゴールキーパーで、ワールドカップでプレーしたのは3人しかいない。そのうちの一人で、なおかつ海外移籍も経験して、J1だけじゃなくJ2でもJ3でもプレーしている。経験していないのは、大学サッカーくらいですよね。アンダー世代や五輪も含めて、あらゆるものを経験している能活さんが、これから育てていく選手がどのようになるのか。誰でもいつかは引退するときが訪れますけど、あれだけの選手が引退するということは、日本サッカー界の今後にとっても楽しみですよね」
権田自身も2012年のロンドン五輪で守護神を拝命。川口も成し遂げられなかったグループリーグ突破を果たし、銅メダルを獲得した1968年のメキシコ大会以来、44年ぶりに準決勝の舞台に立った。出場機会は訪れなかったものの、2014年のワールドカップ・ブラジル大会の代表メンバーに名前を連ねた。
2016年1月にはオーストリア3部のSVホルンへ期限付き移籍。海外での挑戦は1年で幕を閉じたものの、2017シーズンから加入したサガン鳥栖で復活を果たし、森保ジャパンの2戦目となった10月12日のパナマ代表戦では実に約3年7ヵ月ぶりにA代表のゴールを守った。
結果は3―0の完封勝利。熾烈なまでのJ1残留争いに巻き込まれているサガンでも、FC東京時代を超えるハイパフォーマンスを連発。残留圏となる15位にまで浮上させたなかで再び日の丸を背負い、偉大なる大先輩の引退会見に接した。くしくもFC東京時代の先輩で、アルビレックス新潟に期限付き移籍中のMF梶山陽平の今シーズン限りでの現役引退が発表された日だった。
「まだ現役で続けられている僕なんかは、悔いがないようにもっとやらなきゃいけない、とそういう選手が引退するたびに思わされます。いまは日本代表というレベルの高いところでプレーする機会を与えてもらっているので、この時間というものを無駄にせずに。ただ、僕もいつかは引退するときがくるので、そのときには能活さんくらいに胸を張って、引退会見で『次世代を育てたい』と説得力のある言葉を言える選手になりたい、という思いはあります」